

【後退した顎】 顎(あご:アゴ)にコンプレックスを持つ人の半分以上は、顎が後退している。つまり引っ込んでいる状態です。モンゴロイド系は骨格的に歯が上下とも出ているのでEラインが決まらず、整形希望の需要も高いものです。この場合の手術の大半はシリコンプロテーゼを用います。下顔面は横から見て鼻、口、顎の先を結んだ線をエステティックラインつまりEラインと呼び、してこれが1直線になるのが理想的です。自分の鼻に定規などの真直ぐな物を当ててみて下さい。大概の日本人はアゴが足りないのです。欧米系になると口元がやや引っ込んでいます。さて、モンゴロイドで美しいEラインを作り出すにはプロテーゼなどの安全性が確立された材料を使い補充(オーグメンテーション)を行うのが一般的です。アゴが無いと口元が強調された締まりの無い印象になります。少女漫画の主人公は皆美しいEラインをしています。これがお笑い漫画になると皆アゴは省略されています。これは、アゴがきちんと出ていると芯の強さや高いインテリジェンスに繋がるからです。また、アゴの前に出過ぎる印象は「しゃくれ」と呼ばれ、あまり嬉しくない個性になってしまいます。よって私は日本人社会の場合アゴは「無さすぎても、出しすぎてもいけない」もので、ほどほどのオーグメンテーションでEラインを整えるのが理想であると考えています。 【大き過ぎる顎(あご:アゴ)】 近年の体格の大柄化に伴い、下顎骨の発育が良好過ぎて顎が大き過ぎる人も増えてきました。骨が原因ですから、それを削らなければならず、治療は全身麻酔下に口の粘膜を切開し、骨の膜を剥がし、その膜の下(骨膜下)で骨を削ったり切ったりします。
鼻を高くする場合もそうですが顔面のオーグメンテイション(付加する事)において一般的に使用されているのがシリコンプロテーゼです。この安全性は確立されており、一般医療でもペースメーカー、人工関節の一部などで使用されています。それを挿入しアゴを出します。アゴ用プロテーゼの種類は様々ですが、概ね上下から見てブーメラン型をしています。この挿入する層ですが、理想的には骨膜の上に入れるのが良いとされます。骨膜の下でなく上というのは、この部位は骨にプロテーゼがペッタリくっ付けば後々骨萎縮(骨吸収)が起きてプロテーゼが沈み込むからです。鼻のプロテーゼの場合は骨膜の下に入れても大丈夫なのは、実は鼻の骨と顎の骨は発生学的に異なり、顎の骨は鎖骨と同じ種類のものだからです。
手術でアゴを出す前にプチ整形感覚で、ヒアルロン酸注入でもアゴを作り出す事も最近はブームと言えます。ただこれはいずれ吸収されてしまうのと、プロテーゼに比べしっかり出ないので、人にバレず自然に顎を整形というのを体験するものです。また、自家組織移植として脂肪注入法によりアゴの前にボリュームを持ってくることも可能です。この場合お腹周りなどの比較的しっかりとした良質の脂肪を採取し、注入します。採取、注入ともに少ない量なので局所麻酔で行えます。ただ、この方法も脂肪が70%位は吸収されてしまうのでプロテーゼの様な確実性は期待できません。
顎(あご:アゴ)の骨を小さくするために骨を削るのですが、ただ削るだけでは頤(オトガイ)の先端に付いている頤(オトガイ)筋群の付着部を外してしまい顎が弛み二重顎が目立ち易くなるので、最後の縫合の際、この頤筋群の付着部も前に引っ張って固定する必要があります。 もしくは先端の骨を残して中間の骨を中抜き(丁度ダルマ落としのような)して骨接合すれば、頤筋群の弛みを最小限にできます。またこの中抜き手術なら、顎を短く小さくすると同時に顎先を前に出すよう末梢骨片を前に出して固定することもできます。この末梢骨片はワイヤーで固定します。 また削り、中抜きいずれにしても同時に下顎骨の側方をエラに向かって削って行かなければなりません。これを怠ると美しいフェイスラインは作れません。 なお中抜きで末梢骨片を留めたワイヤーは1年経ったら除去可能です。もっともワイヤーが入っていても悪いことはありませんが、レントゲンに映るので気になる人は除去しています。 この骨の手術は全身麻酔で行います。骨を切った部位からは骨髄性の術後出血がしばらく続きますから安静をとると伴にドレーンを使い、その出血が対外に排出できるようします。従って1泊入院が望ましいでしょう。
【頤(オトガイ)神経】 顎(あご:アゴ)の美容整形手術の弊害では頤(オトガイ)神経損傷が先ず挙げられます。これは神経を無視した手術操作もあるかも知れませんが、大きな変化を出そうと神経の近くでギリギリまで無理をするような手術で起きるものです。骨切りする際に気をつけるのは頤(オトガイ)神経は下顎骨から出ている穴の末梢5mm位で骨の中の下歯槽神経管を通るので、5mm以上末梢で骨切りをしないといけないものなのです。ものこのことが分かってない術者がいたら大変危険です。 しかし、下顎骨の手術で良いフェイスラインを得るような側方までの骨削りを行えば神経は切らないまでも術中に牽引はしますから、術後一過性の知覚鈍麻はよくありうるのが医療水準だと考えて下さい。ただ頤(オトガイ)神経は切断しない限りは回復は良い神経なので一過性の麻痺は必ず回復すると観て下さい。某大学病院ではやや乱暴な発想ですが、術中に邪魔になる頤神経をメスでスパッと切断し、骨を削り終えてから丁寧に縫合すると聞いてますが、それでも知覚は回復するとの事です。この神経は切断したままにならなければ一応安心して良いものと考えられています。 【顎の中心線のズレ】見た目の中心線の問題があります。現代人は顔の中心線が定まっていない事が多く鼻、門歯(前歯の2本)の隙間、アゴ先が皆微妙にズレています。そのズレが大きい場合どこを中心線とするかが問題です。アゴの手術だからと言ってアゴばかりしか見ていないと顔が全体的に曲がった印象に仕上がるケースがあります。 【プロテーゼの加工・挿入、骨削りの拙劣】プロテーゼ挿入後にグラグラ動く、プロテーゼの境目がクッキリ見えるケースは問題です。また骨削りをした形がイビツになっているケースがあります。これらは術者の腕の拙劣さによる場合が多いでしょう。